
カルビー「ポテトチップス」のパッケージが白黒に!5月25日以降出荷分から順次変更
コンビニやスーパーで見慣れたあの鮮やかなパッケージが、白と黒の2色だけになる――。
2026年5月11日、大手菓子メーカー・カルビーが「ポテトチップス」の一部商品のパッケージを白黒のモノトーンに変更することが明らかになりました。
対象は「うすしお味」「コンソメパンチ」など計14商品で、5月25日以降の出荷分から順次切り替えられます。
突然の見た目の変化に驚く方も多いと思いますが、これは単なるリニューアルではありません。
中東情勢の悪化を発端とした「ナフサ高騰」という、食品業界全体を揺るがす深刻な問題が背景にあります。
そもそも「ナフサ」って何?なぜインクがなくなるの?
ナフサとは、石油を精製する過程で得られるガソリンに似た液体で、プラスチックや合成繊維、そして印刷インクの原料となる溶剤・樹脂の基礎素材です。
食品のパッケージに使われるカラー印刷インクも、このナフサを原料としています。ナフサが手に入りにくくなると、インクも作れなくなる、というわけです。
では、なぜナフサが不足しているのか。
原因は中東情勢の悪化です。2026年2月末に始まった中東軍事衝突により、ホルムズ海峡の輸送が事実上困難な状況となりました。日本のナフサ輸入は中東依存度が非常に高く、2024年時点で73.6%に達していたと報告されています。その供給源が突然断たれた格好です。
この影響でシンガポールのナフサスポット価格は3月25日に1,000ドル/MT台を突破。4月1日時点でも2月末比で約60%もの上昇を記録しており、インクを含む石化製品全体のコストが大幅に跳ね上がっています。
カルビーはこうしたカラーインクの入手困難を受け、やむを得ずパッケージの色数を「白と黒の2色のみ」に絞ることを決定しました。
対象商品と変更の詳細
今回パッケージが白黒になるのは、ポテトチップスの「うすしお味」「コンソメパンチ」をはじめとする計14商品です。
5月25日以降に出荷されるものから順次、モノトーンのパッケージに切り替わっていきます。スーパーやコンビニの店頭に並ぶのは、変更後しばらくしてからになりますが、早ければ6月頃には白黒パッケージの商品が目に触れることになるでしょう。
また、カルビーはパッケージ変更だけでなく、7月に予定していた「サワークリーム風味」の新商品発売を中止することも明らかにしました。インク不足の影響は、既存商品の見た目だけでなく、新商品展開にまで及んでいます。
他のメーカーへの波及はあるのか?
カルビーだけの問題にとどまらない可能性が高まっています。
朝日新聞の報道によれば、「インク不足による影響は、他の食品メーカーにも拡大する可能性がある」とされています。日本経済新聞の報道では、食肉大手の伊藤ハムもパッケージの白黒化を検討していることが伝えられています。
帝国データバンクの調査では、中東情勢の悪化による原油価格の高騰や供給不安が経営に「マイナス影響がある」とした企業の割合が96.6%にのぼります。また、ナフサ不足の影響が「すでに発生している」と回答した食品・飲料関連企業は44%に達しており、さらに「3か月以内に影響が出る」と答えた企業も31%に上るとのことです。
出版・印刷業界でもナフサ由来のインクや溶剤の影響は大きく、業態全体で37.6%がナフサ関連取引の割合が高い状況にあります。今後、食品以外の製品のパッケージや印刷物にも白黒化・簡素化の波が及ぶことが考えられます。
今後の影響と私たちの生活への波及
今回のカルビーのパッケージ白黒化は、大きなトレンドの「始まり」にすぎないかもしれません。今後どのような影響が予測されるか、具体的に見ていきましょう。
① 食品の値上げラッシュが再燃する可能性
帝国データバンクは2026年4月末の調査で、「早ければ今夏中、遅くとも秋ごろに広範囲な値上げラッシュ再燃の可能性が高い」との見通しを示しています。主要食品メーカー195社を対象にした調査では、値上げの要因として「包装資材」を挙げた企業が7割に達し、帝国データバンクが集計を始めた2023年以来、最も高い割合となっています。
26年通年の値上げ品目数は「最低でも1万品目以上」になるとの見通しも示されており、カルビーをはじめとした各社が今後、商品価格の引き上げに踏み切る可能性は十分にあります。
② パッケージのシンプル化・簡素化が業界標準になる?
今回のカルビーの対応のように、カラーインクを使わずにコストを抑える動きは、他のメーカーにも広がることが予想されます。ナフサ由来の包装資材全体が高騰しているため、容器や袋のデザイン・素材そのものを見直す動きも加速するでしょう。
消費者にとっては、見慣れたパッケージが別のものに見えて戸惑うケースが増えるかもしれません。
③ 新商品・限定商品の発売中止・延期が相次ぐ可能性
今回、カルビーは「サワークリーム風味」の発売を中止しました。同様に、新商品や季節限定商品の発売スケジュールを見直す企業が増えることが考えられます。「楽しみにしていた新商品が突然キャンセルに」という状況が今後も起こりうる点は注目しておく必要があります。
④ 代替素材・代替ルートの模索が続く
日本の主要メーカーは、米国やアフリカ、アジア諸国からの代替調達を進めていますが、世界的に競争が激化しており、容易ではありません。政府は「日本全体として必要な量を確保できている」としつつも、「流通の目詰まり解消」が課題となっており、短期的な解決は難しいと見られています。
白黒パッケージは”危機のサイン”
カルビー「ポテトチップス」のパッケージが白黒になる背景には、中東情勢→原油高→ナフサ高騰→カラーインク不足という、一本のつながった連鎖があります。
お菓子のパッケージという身近な変化を通じて、地球の裏側で起きている出来事が私たちの日常に届いている――そのことを改めて実感させられるニュースです。
5月25日以降、スーパーやコンビニで白黒のポテトチップス袋を見かけたら、それは単なるデザイン変更ではなく、今まさに進行中の資源危機のサインです。今後の食品価格や商品展開の動向に、引き続き注目が必要です。

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