
毎日新聞が5月23・24日に実施した全国世論調査で、女性が天皇になることへの賛成が72%に上り、反対(10%)を大きく上回ったことが明らかになった。「わからない」は17%だった。
この数字、あなたはどう感じますか?
賛成と反対の差は実に62ポイント。「賛否が割れている」どころか、国民の多くが女性天皇の実現を支持しているという、明確な民意が浮かび上がっています。
どうやって集めたデータか
この調査はスマートフォンを対象とした「dサーベイ」方式で実施。
NTTドコモのdポイントクラブ会員を対象とし、全国の18歳以上約7,700万人から無作為に対象者を抽出、1,780人から有効回答を得た。

約7,700万人という母集団から無作為抽出しているため、特定の年代や性別に偏ったサンプルではありません。幅広い世代の「リアルな声」と見ていいでしょう。
昨年と比べると? 20年間のトレンドも注目
毎日新聞は昨年から皇室に関する国民意識の定期調査を行っており、昨年5月の調査と比較すると、賛成は2ポイント上昇した。
一方、反対は4ポイント上昇しており、賛否ともに微増している。
また、毎日新聞の同趣旨の調査では、この約20年間、女性天皇容認の割合が6割から9割弱の範囲で推移し続けている。
つまり、女性天皇への賛成はここ最近の「一時的なブーム」ではなく、20年以上にわたって国民の間に根付いた安定した民意だということです。
それでも実現していないのはなぜか——そこに、この議論の核心があります。
なぜ今も実現しないのか?「皇室典範」という壁
現在の皇室典範は、皇位継承を「男系男子」に限定している。
つまり、父方の血筋をたどって天皇に連なる男子のみが皇位継承の対象となる仕組みだ。どれほど国民の支持があっても、女性である敬宮愛子内親王が即位する道は、制度上、現時点では存在しない。
この構造が「見えない壁」として機能し続けています。民意と制度の間に大きなギャップが生まれているのが現状です。
政治はどう動いているか
2026年2月、高市早苗首相は衆議院本会議の代表質問において「皇室典範改正の議論が進展し、速やかにまとまることを期待する」と答弁した。施政方針演説でも皇位継承安定化のため皇室典範改正への強い意欲を示している。
ただし、首相の念頭にあるのは「旧宮家の男系男子を養子として皇族の数を増やす案」であり、あくまで男系継承を維持する方向性だ。
国民の72%が女性天皇に賛成している一方で、政治が向いている方向は必ずしも同じではありません。
国会で議論されている「2つの案」
現在、与野党による全体会議では「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧宮家の男系男子が養子として皇室に戻る案」の2案が検討されている。
前者は「皇族数の減少」という現実的な問題を解決するための案ですが、あくまで女性が皇族として残るというもので、女性天皇の実現そのものとは異なります。
後者は保守派が支持する案で、男系継承を維持しつつ皇族の人数を確保しようとする考え方です。
共産党の田村智子委員長は「なぜ女性天皇の議論を正面からしないのか」と重ねて訴え、「国民の総意のもとでの象徴天皇制であり、国民の世論を見るべきだ」と主張している。
今後どんな影響が予測されるか
この問題が今後どう動くか。以下の3つのシナリオが考えられます。
① 皇室典範の改正が先行し、旧宮家養子案が成立するケース
男系継承を維持した形で皇族数の問題は解決されますが、国民の72%が求める「女性天皇」の実現にはつながりません。民意と制度のギャップが今後も続くことになり、国民の不満や議論がさらに高まる可能性があります。
② 世論の高まりを受け、女性天皇を認める方向へ議論が転換するケース
もし将来的に政権が交代したり、与党内での意見集約が進めば、皇室典範を改正して女性天皇を認める方向へ舵を切る可能性もゼロではありません。20年以上続く国民の支持がその根拠になり得ます。
③ 議論が長期化し、結論が先送りされるケース
最も起きやすいのがこのシナリオです。政治的な調整が難航し、合意形成に時間がかかる間も、皇族数の減少は現実として進みます。制度が時代に追いつかないまま、問題が先送りされるリスクがあります。
まとめ:民意と制度の溝をどう埋めるか
今回の世論調査が示したことは、「国民の7割以上が変化を望んでいる」という揺るぎない事実です。
20年以上にわたって安定して高い水準を維持してきた賛成意見。それでも法律は変わっていない。この現実は、日本の制度議論の難しさをよく表しています。
女性天皇という選択肢は、単なる「ジェンダー平等」の問題にとどまりません。皇室の持続可能性、国民と皇室の信頼関係、象徴天皇制の未来像——これらすべてが絡み合う、現代日本の最重要テーマのひとつです。
あなたはどう思いますか?国民の一人として、この議論を「自分ごと」として考えていくことが、今、求められているのではないでしょうか。
参考:毎日新聞 2026年5月30日付 全国世論調査(dサーベイ、有効回答1,780人)

コメント