
長友佑都の5大会連続W杯選出に賛否が集中
2026年5月15日、日本サッカー協会(JFA)は北中米ワールドカップに挑む日本代表メンバー26人を発表した。その中でひときわ注目を集めたのが、FC東京のDF長友佑都(39)の名前だった。
5大会連続のW杯選出は日本代表史上最多であり、アジア選手としても初めての快挙だ。
しかしその一方で、今回のW杯アジア最終予選では全活動に招集されながらも、全10試合でベンチ外。貴重な選手枠「1」を長友に使うべきなのか、ネット上では”長友不要論”が渦巻いた。
喜びと批判が同時に飛び交う——この状況を、当の本人はどう受け止めているのか。
会見で”不要論”に真っ向反論「W杯が終わる頃には称賛しかない」
5月17日、FC東京は都内で代表選出選手記者会見を行い、長友が登壇した。
会見での長友の言葉は、力強いものだった。
「賛否両論あるけど、W杯終わった後には称賛しかないでしょう。日本だけじゃなくて世界を巻き込んで戦いますので。見ていてください」
不要論を否定するだけでなく、大会を終えた後の自分の価値をすでに確信しているかのような自信に満ちたコメントだった。
選出の喜びについては、「光栄に思います。カタールW杯から4年間苦しいこともたくさんあったが、たくさんの方々に支えられてここにたどり着けた。ただ、ここで終わりじゃない。大きな優勝という夢があるのでそこに向かって全身全霊で戦います」 と語り、メンバー入りが告げられた後には涙を流す場面もあった。
「空気清浄器」とは何か——4大会の経験が生む”W杯の嗅覚”
長友が会見で語った最も印象的なフレーズが、「空気清浄器」という言葉だ。
「W杯の嗅覚を持っている。独特の匂いがあって、空気清浄機のように、悪い空気を浄化できるし。そういったところも含めて、空気清浄機のような役割を果たせる。自分がいること、存在価値を皆さんにW杯を通してわかってもらえると確信している」 と力強く語った。
この発言の背景にあるのは、具体的な過去の”失敗の経験”だ。
2014年ブラジル大会を引き合いに「初戦で敗れ、そこから奮起することができなかった。あのときに経験した今の自分がいたら(チームを)前へ向かせられた。日々変わっていく雰囲気、勝つためのチームはこうだと、修正が今はできる」と語った。
単なる精神論ではない。失敗と成功を経た4大会分の肌感覚が、今の長友の言葉に重みを与えている。
長友佑都のキャリアデータが示す”本物の凄さ”
批判的な意見が出るのも理解できる。しかし、数字を並べると長友の実績は際立つ。
長友は2010年の南アフリカ大会からW杯への出場を続けており、大会通算出場は15試合。国際Aマッチ通算出場試合数は日本で歴代2位の144試合を記録している。
また、今回の選出に至るまでには体のアクシデントも乗り越えた。3月14日のリーグ戦で右ハムストリング肉離れを負い、W杯メンバー入りが危ぶまれていたが、今月に復帰し北中米大会への参戦が決まった。
2018年ロシア大会も22年カタール大会も衰えを指摘されながら高い実力を発揮しており、代えがたい豊富な経験が決め手になったとされる。
森保監督が語った選出理由——「コミュニケーションの部分でも」
選んだ側の森保一監督も、明確な理由を述べている。
森保監督は「彼はこれまでの過去4大会の成果も課題もすべて知っている」と説明した。また、5月10日の東京V戦を視察した森保監督は「局面局面での戦いはW杯基準」とプレー面でも期待を示した。
ピッチ内だけでなく、ピッチ外での機能も重要視されている。
長友は持ち前の明るい個性でチームを鼓舞する役割を担ってきた。カタール大会中に連発した「ブラボー」が大きな話題を呼び、代表に勢いをもたらして2大会連続の16強入りにつなげた。
本田圭佑も「尊敬」——仲間からの評価も見逃せない
かつて長友と”日本代表の顔”を並べて担ってきた本田圭佑は、今回の選出についてこう語った。
「すごいことだと思うんですよね。5回目ですか。日本人初ですよね。世界的に見てもワールドカップに5回も出れる選手はいない」と言及し、「刺激というよりはもう尊敬です」と語った。
役割についても踏み込んだ。「初戦、2戦目と思いがけない結果になった時、最後の3戦目、またはトーナメントというところを状況、状況によって、皆さんが思っている以上にワールドカップのチームというのは、入り始め、途中、終わりと、生き物のように変化します。なので、佑都の役割はそこでしっかりと森保さんの見えない部分をつなぎ合わせることだと思います」 と分析した。
今後への影響——長友の”存在”が日本代表を変えるか
今大会では三笘薫や守田英正ら主力が負傷などで落選しており、日本代表は厳しい状況でW杯に臨む。そんな中で、長友の「空気清浄器」としての役割はより重要性を増す可能性がある。
長友は「苦しいときこそ盛り上げるメンタルの強さが必要。悪いときこそ長友が必要だと思われる存在でいたい」と話してきた。
試合に出続けることだけが選手の価値ではない——長友の存在は、スポーツにおける「経験」と「精神的支柱」の重要性を改めて問いかけている。
W杯北中米大会は2026年6月に開幕する。大会終了後、長友自身が語った「称賛しかない」という言葉が現実になるか。それは日本代表の結果とともに、私たちが見届けることになる。

コメント